去る2月12日、超党派の国会議員による「犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟」が発足しました。
このような動きにより全国的に機運が高まり、地方での取り組みにとっても追い風となっていってほしいものです。
ところで、動物愛護行政というと、愛護センターなどの行政施設における殺処分をなくす直接的な手段ばかりが議論されがちですが、私はもっと裾野が広い問題だと思っています。
動物愛護は教育問題である
佐世保の女子高生による同級生殺人事件、名古屋女子大生による老婆殺人事件など最近の事件に限らず、凶悪事件の犯人の多くは、年少時に動物を虐待していたことが報道されています。
動物虐待と対人暴力や犯罪との関連性については、まだまだ研究の余地があるようですが、虐待の事実が早期に発見され対応がなされていれば、あるいは犯人が幼少期から動物愛護教育を受けていたら、ひょっとしたら凶悪事件は防げたのではないかと思わざるを得ません。
凶悪犯罪ばかりではありません。弱者をいたわり、命のかけがえのなさを幼いころからきちんと教育できれば、動物を単なる商品や玩具のように扱う人や、簡単に捨ててしまうような人も少なくなるはずです。
動物愛護は高齢化社会問題である
獣医さんに行くと、ネコの入ったケージを重そうに抱えていたり、犬に引っ張られるようにして歩いているお年寄りを、以前よりも頻繁に見かけるようになりました。ペットを飼う人は確実に高齢化しているように思われます。
私は、お年寄りがペットを飼うのは良いことだと思っています。動物は人の心に安らぎを与えますし、毎日面倒をみる対象がいることが生きがいや気持ちの張りにつながるからです。また、ワンちゃんなら散歩に連れていくことで、健康維持にも役立ちます。
しかし、飼い主の高齢化に伴い、行き場を失うペットが増えているのも事実です。
東京都動物愛護センターの統計(2012年度)によると、同センターが犬や猫を引き取ることになった理由の22%が飼い主の死亡、18%が飼い主の病気・入院であるとのことです。では、飼い主はどのような準備をしておけばよいのか。NPOや企業の仲介で信託銀行や信託会社に、将来のペットの飼育費の管理を任せ、万が一のときは獣医師などに世話を委託できる制度があるようですが、高額な資金がかかります。
犬や猫を飼う意思があるのに、自分の将来への不安から断念するお年寄りもたくさんいます。いま飼っている人の不安を解消し、あるいは飼いたいのに飼えず寂しい思いをしているお年寄りのために何ができるのか。行政が中心になって考える時期に来ているのではないでしょうか。