市政執行方針における動物行政の重要性について

本年の第一回市議会定例会は、平成29年度予算案を可決して3月28日に閉会しました。
毎年、第一回定例会の本会議では、市長の表明する市政執行方針と新年度予算案について質疑が行われます。私は以下の3点について質問をしました。
①市政執行方針における動物行政の重要性について
②入学・就学援助制度の改善策について
③市制80周年記念事業について

ここではまず、①の質疑内容をご報告します。

さいとう和夫 市長は平成29年度の市政執行方針において、後期基本計画に沿って、目指す方向性や我々が審議すべき重点施策を表明されたが、その中で動物行政はどのように位置付けられているのかについてお聞きする。

後期基本計画の中で最初に掲げられているのが「非常時への備えのあるまち」である。先の熊本における震災後、車の中で寝泊まりする被災者の姿が繰り返し報じられたが、その中にはペットを同行したことが避難先でトラブルの原因となり、やむなく避難所の外での暮らしを選んだ方もいた。熊本市の避難所運営マニュアルには、「避難所側がペット同行者に配慮」するように記載されているが、実際はマニュアルどおりにはいかない避難所もあり、市の担当者は「周知不足は否めない。受け入れへ向けて意識を変えていかなければならない」と話しているとの新聞報道があった。ペットと離れて暮らすことに堪えられず、同行避難ではなく同伴避難、つまりペットとともに生活できる場を求めて避難所難民になった方もいる。熊本市内で開業している竜之介動物病院では、病院の3階と4階をペット同伴避難所として開放したところ、ピーク時で飼い主約230人、犬や猫約300匹が集まったとのこと。この病院の院長徳田竜之介さんは、「災害時にほんとうに人を助けようと思うなら、ペットも一緒に助けなくてはならない。もはや、ペットは家族の一員というより、社会の一員なのだという意識の転換が重要だと思う」と語っている。

さいとう和夫ブログ 避難訓練 動物同行

平成28年に行われた動物同行避難訓練の様子

さいとう和夫ブログ 船橋市動物愛護指導センター 動物愛護推進員

動物愛護指導センターや動物愛護推進員の方から、日ごろの備え等について説明がありました。

当市では昨年、総合防災訓練において初めて、実際に犬を同行しての避難訓練が実施されたが、こうした避難訓練をより実効性のあるものにして全市に広げ、飼い主側の備えについても啓発活動を続けていくべきであるし、獣医師会との災害時協定も急ぐ必要がある。

「ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯でも安心して暮らせるまちづくり」、あるいは「健康を意識したまちづくり」も、市の重要施策として挙げられている。先の定例会で申しあげたように、飼い主の急病や急死により取り残されるペットが社会問題化している。自分の将来に不安を感じながらペットを飼っている高齢者や、動物を飼いたくてもあきらめざるを得ない高齢者もたくさんいる。一方で、動物を飼うことで生活に張りが生まれ、犬を散歩に連れていくことで人と触れ合えるメリットもある。アニマルセラピーという言葉があるとおり、動物を健康維持・増進や心のケアに役立てる高齢者施設や病院も増えている。また、障害のある方の伴侶として活躍する動物もいる。今週、2月27日の新聞に、聴導犬―聴覚に障害のある方の耳がわりになる犬のことです―聴導犬が、法的に補助犬として位置づけられているのにもかかわらず、いまだに商店や病院などで同伴を拒否されるケースが後を絶たないとの記事が掲載された。

「子どもたちを健やかに育む環境づくり」、「笑顔があふれる子育てのまち」も執行方針の柱のひとつとなっている。昨年11月の子ども市議会で、飼い主のいない犬・猫の殺処分を減らすための方策について質問があったとのこと。質問者だけではなく、動物を遺棄したり、無責任な飼い方をしたりするなど、大人たちのやってきたことで心を痛めているお子さんが少なからずいるということだと思う。また、命の大切さや他者への思いやりを育てる教育は、いまの時代、ますます重要性を増していると思うが、そうした教育を実践する上で、動物を介在させる方法が効果的であるという報告もある。

動物介在教育

中山学園高等学校で行われている動物介在教育

市民連携や町会・自治会など市民の手によるまちづくりも、市長が力を入れておられる施策のひとつである。市がこれまで推進してきた地域猫活動は、決して動物愛護一辺倒の活動ではなく、地域社会の理解と協力のもと、不妊・去勢手術を進め繁殖を抑えることで飼い主のいない猫による住民被害をなくしていこうという、市民によるまちづくりのひとつの形であるし、その他の動物愛護活動も市民同士が知り合い、手をつなぐ場になっている。

要するに動物行政とは動物のためだけではなく、動物に関心やかかわりのある市民のための行政でもあり、市長の掲げておられる方針の中で一定の重要性を持つエレメントであると思う。また、動物にもやさしいまち、人と動物が共生するまちというイメージは、市の魅力を高め、船橋市に住みたいと思う人を増やすうえでも有効だと考える。今後は、市の色々な分野で動物行政とどう向き合っていくかという幅広い視点が必要になると思うが、市長はどのように考えておられるのか、見解を求める。

松戸徹市長 動物行政について、災害時のこと、心のケア、聴導犬のことなどいろいろ例を挙げられた。どこまでの範囲を含めるかというのは、非常に私としても難しいかなという部分はあるが、ただ、特に犬とか猫に限って言えば、人間と長い歴史の中で共存して、一緒に暮らしてきたという歴史があると思っている。

特に、最近はまた改めて、動物のセラピーのこととか、あとは高齢者の方の生活の支えになっているというようなことも見直されてきていると思う。ただ一方で、都市部の中においてはプラスの面だけではなくてマイナスの面の議論も確かにあると思う。

そういった中で、一番大切なことは、動物を好きな人も苦手な人もいるわけで、これは動物行政に限った話ではないが、お互いにどこまで理解しあってひとつの都市の中で暮らしていける環境を作っていくかということだと思っている。

ご質問の中にあった子ども市議会での提案も、殺処分をしないでいかに動物たちを生かしてやれるのかというような提案であったし、また、これは多分学校などで動物を飼っている中で自然に生まれてきた純粋な命を大切にする気持ちだというふうに思うし、そのような動物との共生というのは、やはり子供たちが見ているんだということを大切にしていく必要があると思っている。

ご質問にあったように、そうした動物との共生ができる都市というのは、魅力があるというのはもちろんだが、ある意味では、先ほども言ったが私たち大人だけではなくて、人間の社会の在り方が問われているんじゃないかというふうに思う。

動物の能力というのはいろいろあるわけで、そういったものも生かしながら、そしてまた都市の中で、また自然の中で共存するためには、これからの都市づくり、まちづくりの中では、いま基本的に動物愛護センターが所管をしてやっているが、高齢者のこととかいろいろな連携がこれからは含めて考える必要があると思うので、庁内的にもいろいろな分野で必要に応じて、いろいろな関心をもちながら連携ができるよう留意をしてやっていきたいと思う。

齊藤和夫 市長がおっしゃるとおり、人と動物のかかわりは、いま様々な分野に及んでおり、行政と我々議員が考えるべきこと、できること、取り組むべきこともそれだけの広がりを持っているということだと思う。
(第一問以上)
※この報告は印刷物としても配布予定です。