船橋市内にある県立高校の男性教諭が、敷地内で生まれた子猫を生き埋めにしていた。しかも、担任を務めるクラスの生徒3人に、目的を説明しないままスコップなどを用意させ、埋めるための穴を掘らせていた…。
このニュースを昨日、読んだときは、どうしてこんなことができるのだろうと驚き、大きな怒りを覚えました。そして今日、知人から、さらにショッキングなことを教えられました。この県立高校とは私の母校だというのです。とても信じられず(というか、信じたくなくて)、テレビのニュース映像で確認しましたが、間違いないようです。
テレビのニュースでは新たに、この高校で臨時の保護者会が開かれたということ、そして、警察が動物愛護管理法での立件を視野に捜査に乗り出したことが伝えられました。
高校にはマスコミが殺到していることでしょう。こんなニュースとともに終業式の日を迎え、ざわついた気持ちのまま春休みに入っていく生徒たちが気の毒です。特に、穴掘りを手伝わされた生徒には、メンタルケアが必要なのではないかと思います。
動物愛護管理法での立件とは、おそらくこれですね。
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
この男性教諭がやったことは、「動物をみだりに殺した」と決めつけられても仕方のない、残虐で、許されざる行為です。しかし、ここまで大きく報道されている理由は、それをやったのが教職の立場にある人で(この高校の教頭先生は、「本来、命の大切さなどを生徒に教えるべき学校で、このようなことを起こしてしまったこと、本当に保護者の皆様、生徒の皆様、県民の皆様に、大変申し訳なく思っています。」とコメントしています)、それが行われた場所が学校の敷地内であり、生徒も加担させられたからでしょう。
では、男性教諭が子猫を保健所に持ち込んでいたらどうなっていたのか。おそらく、なんの問題にもならなかったでしょう。しかし、保健所(市動物愛護指導センター)で引き取った犬・猫は、収容日を入れて6日間は公示して引き取り手を探しますが、収容期限になると殺処分になります。
学校の敷地で生まれた子猫を見つけて、男性教諭はどうすべきだったのでしょう。上述のように、保健所に連れていっても、子猫の命が救われる可能性は極めて低いと言えます。警察署でも同じで、結局は保健所に預けられることになるでしょう。では、生徒の協力も得て、自分たちの手で引き取り手を探すのか。動物愛護団体に引き取ってもらうのか。あるいは、見なかったふりをしてノラのまま生かしておくのか…。
正解はありません。それほどノラの子猫を取り巻く環境は不確定で苛酷なのです。私はこの男性教諭に、生徒とともに話し合ってもらいたかったと思います。子猫をどうしたらよいのか。小さな命を救うために、どんな手段が考えられ、その先にどんな結果が予想されるのか。あるいはもっとさかのぼって、母猫は、なぜ学校の敷地内で子どもを産まざるを得なかったのか。その原因を作ったのは誰なのか。
この教諭ばかりではありません。この高校全体で、いや、その他の高校や小中学校でも、同じことを話し合えば、きっと実りのあるいのちの授業ができるのではないでしょうか。私もあらためて、どうしたらよいか考えてみたいと思います。